2025/06/30 離婚コラム
住宅ローンと離婚
最近、東京などの都心部を中心に不動産価格が上昇し、並のサラリーマンには手が出せないレベルに至っている、というようなニュースをよく耳にします。
ご当地、滋賀の状況はと言いますと、大阪・京都への通勤圏である滋賀県南部、大津・草津のJR沿線を中心に不動産価格の上昇が続いている状態ですが、それ以外、断続的に不動産の価格の低下傾向が続いている地域も少なくありません。
このような状況は、ご夫婦が離婚する場合の財産分与にも大きく影響が出てまいります。特に、住宅ローンが残っているようなケース(以下では「残ローン」とします。)では、残ローンより不動産の価格が上回っているのか、それとも残ローンが不動産の価格より上回っている(これを「オーバーローン」とします。)のかで、財産分与の進め方が大きく変わってくるのが一般的です。
そこで、住宅ローンがあるご夫婦が離婚をお考えの場合に、検討すべき事項について簡単にまとめました。
1 残ローンの金額を確認する
まず残ローンの金額を確認しましょう。金融機関から定期的に返済表が送られてくることが多いです。分からない場合には、直接金融機関に問い合わせましょう。
2 登記簿謄本・固定資産評価証明を用意して不動産業者から査定をとる
自宅の登記簿謄本、固定資産評価が分かるもの(毎年の固定資産税の納税通知書に記載があります。)を準備しましょう。その上で、不動産屋で査定をもらって欲しいです。できれば、複数の見積もりをとったほうが良いでしょう。思いのほか、査定額に差があります。
3 売却するか、どちらかが住み続けるかを決める
(1)売却する場合
残ローンより売却価額が上回る場合には、その売却益をどのように分けるかが問題となります。単純に2分の1ずつ分けることが不公平になる場合もあります。たとえば、どちらかが、結婚前から貯めていた預貯金を使ってまとまった頭金を出していたようなケースです。
残ローンが売却価額を上回る場合には、残ローンは契約者が返済を続けなければなりません。マイナス分は、他のプラスの財産がある場合にはそれで帳尻を合わせるように処理します。他のプラスの財産がないときは、ちょっと困ったことになります。
(2)どちらかが住み続ける場合
ローンの契約者が住み続ける場合で、残ローンより査定額のほうが上回る場合には、差額の半額について、住み続ける側が出て行く側に支払わなければならない可能性があります。
残ローンより査定額が下回る場合には、その差額について、他のプラスの財産がある場合にはそれで帳尻を合わるという見解があります(そう考えない説もあります)。他のプラスの財産がないときは、債務者がマイナスを引き受けることとなります。
上記にざっと記しただけでも住宅ローンと財産分与はいろいろ考えなければならない問題がありますし、立場によって、主張すべき法律構成が変わることも考えられます。不動産をお持ちの方で離婚をお考えの場合には、弊事務所までお気軽にご相談頂ければと思います。